3.11後の大家業はどうなる?! (北野 琴奈)

2011-07-06

北野 琴奈(きたの ことな)

「想定外」
3月11日の震災以降、様々なニュース等で、この言葉ほど多く耳にしたものはなかったと感じます。
一方、賃貸経営をしていると想定外のことはたくさんあります。
空室率はこのくらいだろうと思っていても、実際は想定外に高かったり。
他にも、家賃滞納がある、維持費や修繕費が思いの他かさむ、等は比較的よくあります。何年か大家さん業をしている方でしたら、想定内のことかもしれませんね。

更には、今回のような自然災害や事故・事件が起きる可能性とその影響など、賃貸経営において想定外のことが起きるのは、決して人ごとではありません。

現在、話題に上がっている復興税も然りです。
突如、直面せざるをえなくなった法・税改正のリスク。消費税、所得税、法人税のいずれになるのか、それとも合わせ技になるのか。はたまたまったく違う案が浮上するのか。資産課税の話もゼロではないようですし・・・(執筆日4月28日)

その場合に、賃貸経営の収支はどうなるでしょうか。
想定外の収支は、諸々の修正や対策を必要とするでしょう。

以前、ある雑誌の取材時に、「賃貸経営って、毎月問題なく家賃が入ってくるのが当たり前ではないんですね。」と言われたことがあります。

確かに、「毎月変わらない家賃が入ってきて、そこからローン・経費を支払い、それが何事もなく半永久的に続いていく」のであれば言うことはないのですが、実際には山あり谷あり。特に、長年賃貸経営をされている方でしたら実感されているのではないでしょうか。

ならば、賃貸経営をするのはなぜなのか。
今回の震災後、日本で不動産を持つのは気が進まないという方の意見もちらほらと耳にします。もちろんそれぞれの考え方があり、選択は自己責任です。ネガティブな気持ちのまま続ける経営者(大家さん)の商品(貸家)を使うエンドユーザー(入居者の方)に対しても失礼になるでしょうから、無理に続ける必要はないと思います。

「なぜ賃貸経営を続けるのか」、この問いのヒントになることが先日ありました。
津波で壊滅的状況になった場所に住んでいた方へのインタビューです。

甚大な被害に遭われたにも関わらず、「たとえ今後も地震があるかもしれないと言われても、やっぱりここに戻ってきたい。ここで暮らしたいんです。」と。故郷に対する強い想いが感じられたと同時に、賃貸経営のことが頭に浮かびました。

長期に渡る賃貸経営では、「それでも、賃貸経営を続けたい」何かが、想定外のことも乗り越えていく原動力になるのではないかと思うのです。その「何か」は人によって違います。ご自身にとっての意味を再確認する機会を、ぜひ持ってみてください!

とは言え、精神論だけでやっていけるのは少数派だと思われますので、数字から見た経営にもしっかり取り組んでいかなければなりません。両輪あってこそ、想定外の中でも生き続けられる賃貸経営ができるのだと、改めて強く感じます。

<大家さんへのメッセージ>
自分に何ができるのかを考える際には、短期的・長期的、2つの視点があります。
今すぐにできることは何かという一時的なもの、長いスパンで見てできることの長期的視点の両方から考えてみませんか。それが、結果的として継続的に社会と関わっているという充実感につながるはずです。
もちろんこの前提には、自身の安定があることも大切な要素のひとつです。

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<プロフィール>
北野 琴奈 (きたの ことな)
1974年北海道生まれ。津田塾大学卒業。
結婚を機に資産運用の大切さを実感し、ファイナンシャル・プランナーの国際ライセンスCFP®資格を取得。
同時に夢実現の手段として不動産投資・経営をはじめ、現在東京を中心に、6棟計104室を所有。海外ではアメリカの物件も所有。
実践型FPとして、資産運用、不動産投資・賃貸経営に関する講演、執筆、個人相談業務で活動中。テレビ・新聞・雑誌等のメディア取材協力多数。


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