3.11後の大家業はどうなる?! (寺尾 恵介)

2011-07-06

寺尾 恵介(てらお けいすけ)

こんにちは。投資家けーちゃんこと、寺尾恵介です。
今回の大震災で被災された方、所有物件に被害があった皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。

「震災後のアパート経営がどうなるか?」というテーマでコラムを書くことになっているのですが、日本全体の業界構造にまで影響するような大変化は、起きないんだろうなと楽観的に考えています。

「日本は今後も地震のリスクから逃れることはできない」と考えて海外に移住するような人は多くありませんし、ぼくが北陸に持っている賃貸マンションの入居率にも、何の影響もありません。
今後、原発近くにある物件は売りにくくなるとか、外国人向けの超高級賃貸物件の家賃は下がってしまうだろうなという予測はありますが、大半の大家さんは、これまで通りの賃貸経営を続けていけば良いかと思います。

それよりも、今回の震災で特徴的だったと思うのは、大家さんの「リスク感覚のなさ」が露呈されたことです。

震災後に大家さんから寄せられた質問メールを読むと、地震保険に加入していなかったり、加入額が全然足りなかったり、契約した代理店がいつのまにか廃業していたりと、お粗末なリスク対策しかできていない大家さんが多いことに驚きました。
事業をするなら、どれくらいの規模リスクが、どのくらいの割合で発生するのかをしっかりと把握していないといけません。

「空室率が●割になったら、家賃でローンを返せなくなる」というのは分かりやすいですが、地震が今後どのくらいの確率で発生するのかを把握している大家さんは多くありません。
日本が地球上の陸地に占める割合は、わずか0.2%であるにも関わらず、地球上のM6.0以上の地震の20%が日本とその近海で発生していることを知っていたら、地震対策に適当な大家さんはもっと減っていたはずです。
「宮城県で大きな地震が発生する確率は、今後30年で90%以上である」という分析は、ずっと前から出ていました。政府が発行している予測図をご覧になった大家さんが、どのくらいいたでしょうか。

また、「地震で全壊か全焼したら、いくらの損害になるか」というのは、物件の買値や建築費と、土地の値段(=地震があっても残る)から導き出せるはずです。導き出された予想損害額と契約している地震保険の金額を比べたら、今の対策が危険であることは分かると思うのです。

逆に、「建物で入居者が自殺したら?」みたいなことを気にする大家さんは多いです。
でも、年間の自殺者数と、そのうち自宅内で自殺する割合を調べて、自分の持ち物件の戸数と居住人数を割り算してみると、地震の方がはるかに高い発生確率であることが分かります。もちろん、発生した際の損害額も比較になりません。

震災後、賃貸経営が変わる・・というか、変わる「べき」だと思うポイントは、大家さんのリスク感覚です。総資本何千万円・何億円の事業に見合ったリスク感覚をもつ大家さんが、増えていくことを期待します。

<大家さんへのメッセージ>
「Yahoo!知恵袋」などの質問サイトで「震災 大家さん」と検索してみると、「大家さんが●●してくれないので困っています」という相談がたくさん集まっていることが分かります。大家さんも情報不足で、自分がどうしたらいいか分からず混乱している様子です。今回のシンポジウムを機に、大家さんどうしをつなぐネットワークが広がっていったらいいなと思います。


<プロフィール>
寺尾 恵介 (てらお けいすけ)
不動産投資家 満室経営新聞 編集長
投資家けーちゃんとして知られる人気ブロガー。損害保険会社勤務時代から、北陸地方を中心に賃貸用不動産を取得し、コミュニケーション力を武器に、遠隔高稼働運営を継続中。
不動産業界最大のチャリティイベント「ハッピー&リッチ アパート経営フェスタ」の企画者でもあり、大家さんの社会的地位を上げる活動にも積極的に取り組んでいる。


Copyright(c) 2017 全国大家ネットワーク All Rights Reserved.