賃貸住宅市場の現状と問題提起

2012-03-15

賃貸市場は、現在過度の供給過剰状態と言えます。戦後より続く日本の経済成長は大都市圏への人口流入を常態化し,慢性的な住宅不足を来してきました。

この様な、貸し手市場と言える賃貸市場は借り手に不自由する事もなく(我が世の春)を大家は享受してきたのです。
しかし、ここ数年顕在化した賃貸市場の(貸室余り)は、空室の常態化と家賃のデフレスパイラル状態として結果しております。

私が事業展開の本拠地である、杉並区では5万円以下でバストイレ付き物件が目白押し状態となっているのです。けして、安普請の木造アパートばかりでは無く鉄筋、鉄骨造のマンションでさえこの価格破壊に無縁ではありません。

この貸室市場の困窮原因は、世界的な不況下で日本経済の不安定性が大きいと思います。私の交流のある地域の大家達は「不況だから」と半ば諦め気味に市場の回復をただただ待ち望んでいる状態です。

また、少子化に伴う日本の人口減少もこれから賃貸需要者の減少に弾みを掛ける事と思うのです。
私たち賃貸物件所有者は,氷河期に入っている賃貸市場を生き抜く方策を,模索しなければならないと思うのです。

以下、2点に絞り問題提起いたします。

第一 過供給されている賃貸物件市場における優位性を確保する。

現在、私たち大家は家賃のダンピングをして入居者を確保する方策を強要されています。
礼金の廃止、敷金の減額(または無し)いわゆるゼロゼロ物件化の選択。家賃の減額。仲介業者へのバックマージン(ADの支払い、担当者への小遣い)。これらがダンピングの実態です。この価格破壊ほスパイラルに巻き込まれる大きな原因は、賃貸住宅の過供給と画一化にあると言えます。

長年付き合いがある不動産業者社長は,私に次の様に言い放ちました。
「どれも同じ!ただ階数が違うだけ。案内する気もおきない」これは、横浜の特優賃マンションを指しての発言でしたが、私はこの発言に衝撃を受けたのです。

私は四棟の鉄筋コンクリリート造の賃貸物件を建築してきました。内三棟は何処にでもある1K,2DKとして建築してきました。それは,ただただ容積率一杯の建築を目指したものです。問題意識は、賃貸に供する面積=家賃に反映できる床面積を如何に確保するか!に尽きる物でしかありませんでした。

2月4日行動する大家の会の勉強会で、安藤泉氏の講演を聞く機会がありました。
安藤さんは、マンションを花と植栽で満たし建物全体で入居者を(歓待)していらっしゃいます。居住マニュアルも工夫を凝らし住み心地良い居住空間を提供なさっています。

これは、全くの目から鱗が落ちたとも言うべき衝撃でした。早速高円寺にあるマンションで採用させて頂きました。園芸など全く素養もない私ですが、北向きの日照が悪い場所で安藤さんの真似ッコをするつもりです。

また、居室そのものを魅力ある間取り・仕様にする努力の必要もあるのです。私は現在までに10部屋の改修工事を直営工事で施工してきました。一級建築士に設計・管理を依頼し地域の同規模賃貸物件における優位性を確保するためフルリノベーション施工をしてきました。

私は,この工事形態によって取得した経験をネットワークに集う賃貸物件所有者の皆さんにお伝えしたいのです。言い添えますが、私はこの改修工事を事業として営利目的で行うつもりは全くありません。

大工、設備、電気、建具、塗装、ガラス、等の専門施工業者をオーナー自ら発注・監督する工事形態(CM分離発注形態)の経験をお伝えしたいのです。これは自身の持つ賃貸物件の価値を高め、一山いくらで叩き売られている賃貸居室から優越できを賃貸居室の提供が、極寒期の賃貸状況を生き残る方策と信じているからなのです。

この施工が成功した物件は,バブル期と同じ家賃で賃貸できています。
また、この施工費は坪単価30万円以下を目指しています。これ以上の費用を投じては,賃貸住宅としての費用対効果が妥当性を欠く事となってしまいます。

ネットワークを通じこの施工体制が確立できれば,専門施工業者の協力も得安くなり部材、設備などの購入にも大変有利となると思うのです。

この様な経験を通じ取得したノウハウを皆様に提案できる機会を与えてください。


萩原修一

1949年東京にて生まれる。
20代中頃、親の急逝に伴い賃貸アパートの大家となる。
27歳より建築会社営業部に所属し31歳まで建築営業を行う。
31歳より三井のリハウス田無店にて不動産営業に従事する。
32歳武蔵野市において最初の賃貸マンションを建築する。
34歳にて(株)恭和設計を設立。代表取締に就任。サッシ・金属工事会社を経営する。
バブル崩壊後に,大家業に専従する。
6年前より自己所有賃貸マンションのフルリノベーション施工を行い、現在10部屋の改修を実現する。
著書「賃貸経営30年」賃貸物件の市場価値を高めるために・・・


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