地震対策! 冷蔵庫・食器棚固定用フックを、賃貸住宅のキッチンに標準装備にしよう!!!

2012-03-19

まずは、改めて3.11で被害にあわれた方々にお見舞い申し上げます。

私がこのテーマにたどり着くきっかけとなったのは、“原状復帰フリーの物件”の話でした。ご存じの通り、一般に賃貸物件は“原状復帰”を求められますので、入居者様は“釘一本打てない”のが実情かと思います。“原状復帰フリーの物件”とは極端な話、構造体に触れない、ヒト様に迷惑を掛けなければ、壁紙変更も釘打ちもOKということですね。URが古い賃貸物件に打ち出しているアイディアです。

確かに“自由に住環境を変更できる”ことは入居者様には魅力的ですよね。でも、私が注目したのはこの“釘打ち”。私は以前から自宅の地震対策として、家具はすべて“壁に固定”しております。これは“持ち家”だから出来るわけですが、賃貸の入居者様はどうしているの? という素朴な疑問が湧きました。

早速仲介会社に質問するも、わかるはずもなく。そこで、我が家の立会を全部やってくれているサービス担当に聞いたところ、だいたい以下のようなイメージであることが判明。

<イメージ>

賃貸100軒あれば、固定するような家具がある家は60軒位(若い世帯は家具を持たない)、60軒のうち、壁・床にL字金具等で固定しているのは、6軒以下、60軒の約半数の30軒程が“ツッパリ棒”とのこと。

“L字金具で床に固定”には私もビックリしましたが、今時の壁は石膏ボードでネジが効かないので“床”ということだそうです。また、ツッパリ棒を天井に強く締めすぎ、“原状復帰”を求められるケースもあるそうです。“固定する家具がない=40軒”を含め、冷蔵庫・食器棚を固定している世帯は極めて少数派。予想通りの結果でした。

個々の家具については、入居者様のライフスタイルによって固定すべき家具の有無、更に設置場所が特定できないので、大家が事前にそれを把握することは不可能。しかし、冷蔵庫と食器棚を持たない世帯はありませんね(ちなみに、我が家は全戸ファミリータイプ)。

そこで、冷蔵庫メーカー(東芝・Pana・日立)にTELし、“冷蔵庫を壁に固定するため、冷蔵庫の背面側にフック等はあるか?”との質問をしました。結果、3社ともフックがつけてあり、更に3社とも“壁に固定するためのベルトもオプションで販売”しているとのことが判明。つまり、“少なくともメーカーは、冷蔵庫が地震の際に転倒の可能性があることを認識している“ということは間違いありません。

翌日、近所の住宅展示場10棟以上を観察するも、展示住宅の壁側に冷蔵庫転倒防止フックを準備している住宅メーカーは皆無。担当営業は全員“注文住宅ですから、施主が希望すれば対応できます”とのこと。それは当たり前ですが、“冷蔵庫に限って言えば住宅メーカーは業界として転倒対策を能動的には提案していない“、ということですね。

更に、知り合いの賃貸住宅の営業担当者2名にも質問、“今時の賃貸住宅は対策している??”

答えは皆さんのご想像通りです。

冷蔵庫メーカーと住宅メーカーのこの温度差は何?3.11以後、“家具は固定しよう!”と一大キャンペーンさえ打たれている(“家具類の転倒”でググってください)のに、住宅の現場ではまったくの“画餅”となっている・・・・

ちなみに、先ほども申しましたが、今時の住宅の壁はすべて石膏ボードですから、普通の釘は役に立ちません。30-90cm幅で入っている“木製の桟”を探し出さなければなりません。さらに、RCの場合、下地に木加工がされていませんから、頼みの桟さえありません。

つまり、いくら冷蔵庫側に対策を施しても、住宅側に設計当初より“仕掛け”が無ければ“冷蔵庫は固定出来ない”ということです。

先にも書きましたが、家具を固定するために事前に全室の石膏ボードに仕掛けをすることは事実用無理があります。しかし少なくとも“冷蔵庫”と“食器棚(作り付け除く)”は設置場所があらかじめ分かっています。

そこで提案:

入退去があって、リフォームする際には、冷蔵庫・食器棚の設置場所の高所に、固定の為のフックを“大家の提案として”壁につけましょう。職人ならば、石膏ボード下の桟の位置は見つけられますので、強固なフックがつけられる筈です。RCの場合は直接アンカーを打つことになります。

リノベーションの場合も同じです。石膏ボードの代わりにコンパネを入れておけば、任意の場所にフックを付けられます(ただし、防火対策は必要)。

戸建て住宅が“まったく未対応”である点は既に報告しました。

と、ちょうどこのタイミングで、“3.11後初めて販売された湾岸高層マンションが完売”とのニュースが流れたので、早速この会社に質問したところ、以下の回答を得ました。

********

ご質問いただきました、○○○キャナルコートにつきましては、冷蔵庫の壁への固定ができるように、壁下地に鉄板を入れております。
但し、落合様のご指摘の通りでこのような対応はまだまだ一般的とは言えません。
今後は、お客様の安心・安全のために、積極的に採用を検討していこうと考えております。

********

だいたい、私の思いつくことは素人考えで、いいアイディアならば誰かが既に取り入れているでしょうし、ダメなら“先人の失敗の痕跡”があるはず。少なくとも、今回の“行動”は入居者様の安全を考えれば、“やらない理由がない”訳で、実際少なくとも一社は“冷蔵庫の壁固定の仕掛け”を実行しているということですね!

大家の皆さん、我々のお客様である入居者様は、現時点で冷蔵庫・食器棚の転倒防止は天井へのツッパリ棒しか対策を打つことが出来ません。戸建て・マンションを含めて、持ち家でもまだまだ準備不足の状況下、まずは我々大家が入居者様を守る取り組みとして、タイトルの行動を一緒に起こしませんか?

ちなみに、私は現在順次フルリノベーション中なので、1月に完成する部屋から対応する予定です。

PS: 天井へのツッパリ棒ですが、重量の軽い家具であれば効果があるそうですが、冷蔵庫・食器棚のような重量級となると、大地震の際にはまず最初の揺れで天井を突き破り、効果がなかったそうです。(阪神大震災被災者談)

<hr>
<プロフィール>
落合 淑彦 (おちあい としひこ)
1959年東京生まれ。早稲田大学卒業後、(株)リコーに入社し、海外/国内マーケティングを担当。2006年相続により突然「素人大家」となる。サラリーマン感覚で大家業を展開し、5年間の成績(4棟50室)は空室率3.7%。
「消費税・非課税問題」には一家言を持つ。


Copyright(c) 2017 全国大家ネットワーク All Rights Reserved.