大家さんばかり増税で不公平じゃないかっ!

2013-03-07

 私が講師を勤めた税制改正セミナー終了後に、参加者の大家さんから
言われた言葉だ。

『正直、私に言われても・・・』と心の中で思いつつ、そう言われても
仕方がないような話をした私にも原因はある。

 平成25年1月24日平成25年度税制改正大綱が発表された。

新聞報道で話題になったのは、相続税の増税、つまり基礎控除が6割に下がり
相続税の課税対象者が増えるということだ。

その裏に、小規模宅地の減額(※)の改正項目がある。
「自宅の敷地に対して80%減額が受けられる限度面積を240㎡から
330㎡まで引き上げる」とのこと。

相続税改正の影響が大きいのは地価が高い都心部に土地を所有している方に
なるため、そこに配慮した改正である。

そして、もう一つ改正項目にあがっているのが、
「小規模宅地の減額を適用するのが、事業用と居住用のみの場合は、
調整計算をせずに、それぞれの限度面積まで選択ができる」というもの。

小規模宅地の減額は、適用できる限度面積があり、限度面積の範囲で
最大80%減額になる

現行法における各小規模宅地の種類は次のとおり。

   事業用 400㎡まで 80%減額
   居住用 240㎡まで 80%減額
   賃貸用 200㎡まで 50%減額

選択する宅地が複数ある場合は、下記の調整計算をして全体の面積合計が
400㎡以内になるようにする。

『事業用の面積+居住用の面積×5/3+賃貸用の面積×2≦400㎡』

(例)
事業用が100㎡、居住用が90㎡ある場合、残り賃貸用として選択できる
面積は75㎡となる。
(100㎡+90㎡×5/3+75㎡×2≦400㎡)

それが、改正案によると、事業用と居住用のみを選択する場合には、
調整計算をしなくてよい。つまり、下記の計算式になるのだ。

『事業用の面積(400㎡まで)+居住用の面積(330㎡まで)≦730㎡』

この場合、賃貸用を少しでも選択すると、通常通りの調整計算が必要になる。
あくまでも、事業用と居住用のみに認められるものということ。

つまり、大家さんはこの恩恵は受けられない。
相続税増税の影響があるのは、大家さんも一緒なのに・・・

挙げ出したらキリがない。

来年4月にはいよいよ消費税の増税が行われる。
住宅の家賃は非課税のため、家賃には影響がない。
しかし、大家さんの仕入れにあたる、管理費やリフォーム代などは、
消費税増税の影響を受ける。
つまり、大家さんにとって消費税増税は、コスト増になり確実に経営を圧迫
することになる。

同じような状況にあるのが、お医者さんだ。
社会保険診療報酬は非課税なので、消費税の影響を受けない。
しかし、お医者さんの仕入れにあたる医療機器の購入には、消費税増税の
影響を受ける。

しかし、消費税増税法には、こんな一文があることを知っているだろうか?

「医療機関等における高額の投資に係る消費税の負担に関し、医療機関等の
仕入れに係る消費税については、診療報酬等の医療保険制度において手当を
する。」

つまり、「お医者さんの消費税増税によるコストアップの問題は、
ちゃんと手当てしてあげますよ」ということ。

ちなみに、大家さんの手当てなどは、一切記載ありません。

たしかに医療を守らなければ、国民が安心して生活できないは当然だ。
しかし、大家さんも守らないと、
安定した住環境を提供できないのではないではないか。

みなさんはこの状況をどう思われるでしょうか?

(※)小規模宅地の減額とは、亡くなった方が生前に事業用、居住用、
賃貸用に使用していた敷地について、要件を満たすと、その土地の
相続税評価が80%減額(賃貸用は50%減額)できる制度。

<プロフィール>————————————————–

渡邊 浩滋(わたなべ こうじ)
税理士・司法書士 渡邊浩滋総合事務所 代表。

東京都江戸川区生まれ。
明治大学法学部在学中に司法書士試験に合格。
卒業後総合商社の法務部に入社。
債権回収などを担当するが、税理士試験を目指すため退職。

その後、実家の大家業の経営が危機的状況にあることが発覚。

税理士試験合格後親から大家業を引き継ぎ、空室対策や経営改善に取り組み、
危機的状況から脱出。

行動する大家さんの会(AOA)発起人


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