大家さんに必要なスキル (北野 琴奈)

2011-09-06

北野 琴奈(きたの ことな)

「空室対策」と聞いて、思い浮かぶことや皆さんが実際にやっていることには、どんなことがあるでしょうか?

新しく何か設備を導入する、壁紙や床の一部をいつもとちょっと違った感じにしてみる、古くなった物件だったら、思い切ってある程度お金をかけてリノベーションしてみる・・・などなど。

あとは、募集条件を多少緩和したり、広告費を上乗せしたりなど、物件以外のものにお金をかけるということもあるでしょう。

借り手市場の今、何もしなくても空室が埋まるということは難しくなってきているので、あれこれと試行錯誤されている大家さんは多いと思います。
限られた予算の中で、最大限効果を出すにはどうするか、日々頭を悩ませることですよね。

万全の体制を整えて、「さぁ準備はできた。あとは入居者さんに来てもらえたら決まるはず!」と思われている方には、ここで、一度振り返ってみて欲しいことがあります。
それは、「あなたがやったことは、本当に相手に伝わっていますか?」ということです。

商品(部屋)の用意は万全でも、どんなに良いものをつくっても、それをお客さんにきちんと知ってもらわなければ、売り(入居)にはつながらないからです。

これは何も、賃貸市場に限ったことではありませんね。
モノ・情報があふれているこの時代、消費者がわざわざ立ち止まってみるというのは、よほど興味を引かない限り無いことで、スルーしてしまうことの方が断然多いのです。
皆さんも、他の商品やサービスに対してはそうだと思います。

どんなに「良い」商品であっても、その良さが伝わることなく、存在さえ知られていないことは多数あります。

こういったことは、消費者の立場ではさほど意識していなくても、ほとんど不自由はないでしょう。何せモノがあふれていますから、代替になるものはいくらでもあるのです。
それが、逆に賃貸経営を営む供給側になった途端、死活問題にもなります。
まずは知ってもらわなければ、次へはつながらないわけですから。
例えば何か新しい設備・サービスを取り入れたとして。
物件紹介ページやマイソク、現地を見ればわかるだろう、は、あくまでこちら(大家さん)の都合。
本当に伝わっているかどうかは、究極は、お客さん本人に聞いてみないとわからないことです。

また、広告費等も然り。
これから2ヵ月間は、広告費を上乗せするという話をして進めてもらっていたはずが、現場レベルにまで声が届いていなかったといったことは、結構あるものです。

せっかく大切なお金や時間をかけても、それが相手に伝わっていないのであれば、ムダになってしまっているかもしれません。

こういったことを解消するには、相手の立場になって話を組み立てていく必要があります。
どんな手段で、どんな順序で、どんな状況をつくってあげたら、相手に伝わるのか。
まずはこちらの「伝えたいこと」があって、それを「どう伝えるか」まで考えるということです。

全てをこちらがお膳立てし続けなくてはならない賃貸経営も、なかなか大変です。
けれど、需要が限られていて、多くの中から選ばれる必要がある借り手市場では、それも含めて経営なのでしょう。

賃貸市場でも、良いものが残り、ダメなものは淘汰されていくというのは当然の摂理。その中に、大家さんは身を置いています。
今後は、「良いものをつくる」からもう一歩踏み込んで、「良いものを、どう上手く伝えていくか」というスキルも、賃貸経営で必須になるひとつだと思うのです。


<プロフィール>
北野 琴奈 (きたの ことな)
1974年北海道生まれ。津田塾大学卒業。
結婚を機に資産運用の大切さを実感し、ファイナンシャル・プランナーの国際ライセンスCFP®資格を取得。
同時に夢実現の手段として不動産投資・経営をはじめ、現在東京を中心に、6棟計104室を所有。海外ではアメリカの物件も所有。
実践型FPとして、資産運用、不動産投資・賃貸経営に関する講演、執筆、個人相談業務で活動中。テレビ・新聞・雑誌等のメディア取材協力多数。


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