シェアハウスブームについて思うこと

2011-11-08

近年、首都圏を中心にシェアハウスがものすごい勢いで供給されています。シェアハウスとは、リビングや水回りなどが共用の「現代版下宿アパート」です。
2008年にひつじ不動産がその市場規模を約7000室と発表していますから、おそらく1万室に迫る勢いで増えているのではないでしょうか。これまで専門会社や個人オーナーが中心でしたが、最近は賃貸管理会社、建設会社、不動産投資家、そして大手不動産会社までが、シェアハス事業を展開し始めています。
一方で、以前に比べて、シェアハウスを作れば、すぐに満室になるという状況ではなくなってきています。
原因は増えすぎてしまったからでしょう。増えすぎてしまったということは、当然、入居者に選ぶ余地ができたということです。
ここにきて、初めて「選ばれるシェアハウス、選ばれないシェアハウス」に二分化し始めています。
「最近、デザイン性の高いシェアハウスが増えているけれど、本当に大事なのは、デザインではなく、管理なんですよ。例えば、キッチンに玉ねぎの皮が落ちていたら嫌でしょう。管理ってそういうことなんです」
4年前に先駆けてシェアハウスの運営を始めたある家主さんがこう話していました。入居者同士が快適に住める環境を作り出す仕組みを運営者は作ることがカギになってきているようです。簡単に言えば、入居ルールみたいなものです。そのルールをいかに遵守できるかどうかは運営者の管理能力にかかっています。

管理が重要だということは何もシェアハウスに限った話ではありません。
最近、「建物にはコンセプトが重要だ」ということをよく聞きます。ただ、「コンセプト」とは何か、言葉の意味だけでとらえて、本質を見失っているような印象を受ける建物も少なくありません。
コンセプトを設定する際には、ターゲットとした入居者層が、自分のライフスタイルを実現できるかということが重要ではないでしょうか。
この「自分のライフスタイルの実現」こそ、私は今住宅全般に求められていると思いますが、非常に難しいことです。
単にグレード感のある建物や設備などを用意しておけばいいというわけではありません。これから入居者に支持されるには、快適な住環境を提供することが大事だと思うのです。

冒頭に紹介したシェアハウスと一般賃貸では管理内容に違いがあります。
ただ、最近のシェアハウスの状況を見て、入居者に支持される住環境を提供するためには、やはり日頃の管理が重要なのだと、改めて考えさせられました。
賃貸住宅は建てて(もしくは、購入して)終わりではなく、その後の運営管理こそが経営状況に大きく影響してきます。
相田みつをの言葉に「毎日少しずつ それがなかなかできねんだなあ」とありますが、だからこそ、皆が成功するということはないのでしょう。まさにうまく行く人と行かない人の違いはここにあります。


<プロフィール>
榎本 ゆかり (えのもと ゆかり)
東京都生まれ。日本女子大学卒業後、亀岡大郎取材班グループに入社。
住宅リフォーム業界向け新聞、リサイクル業界向け新聞、ベンチャー企業向け雑誌などの記者を経て、平成15年1月「週刊全国賃貸住宅新聞」の編集デスクに就任。翌年9月に取締役編集長に就任。 新聞、雑誌の編集発行のかたわら、家主・地主や不動産業者向けのセミナーで多数講演。2児の母。


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