「快適且つ安心して住まう賃貸住宅を安定して供給・維持する法律」ってどう?

2011-12-01

どう?と聞かれても、そんな法案聞いたこと無い、と思いますよね? それはその通りで、1年半ほど前に「私が思いついた仕組み」ですから、誰も知らないのは当然。

きっかけは2010年6月、福岡で缶コーヒー一本120円を盗んだ男が「罰金20万円」の略式命令を受けたという報道。この男、万引き4回目でそれまでは、警察のご厄介になるも起訴猶予止まりだったそうです。

毎週月曜日から金曜日まで、多くの民放が17時~19時までニュースを流しています。そして、どの民放も大体18時半前後に「特集」を放送しておりその特集枠で、必ず週1回はどこかの民放が「スーパーでの老人の万引き+本屋での少年の万引き=万引きGメンの活躍」という題材が放送されています。

要は、それだけ万引きが多く、社会問題になっているということ。Gメンに捕まった「犯人」は必ず警察に連れられて・・・というのがお決まりパターンですが、「罰金20万円の男」がニュースになる位ですから、殆どは起訴されることなく釈放されているんでしょうね。

当たり前なことですが、例えそれが120円の缶コーヒーであっても万引きは窃盗にあたり、必ず警察は対応してくれます。でも、われわれ大家業は、家賃を数ヶ月、数十万円単位で滞納されても、警察は何もしてくれませんね?

これは法律の世界では当然のこと。前者は「刑法」の守備範囲で、後者は「民法」の範囲だからで、警察は「民事不介入」が原則。えっ、そんなこと分かっている?当然ですね。

それではなんで 「モノを盗む・払おうと思ったとウソを言う vs タダでアパートに居座る・今度は払うとウソを言う」と、一見「同じ不法に見える行為」が刑法と民法という別の法律で縛られるの?って考えて見ました。

もともと、全てのヒトが善良で、モラル・常識ある行動をすれば法律なんて要りません。しかし、「常識」っていうのは、個人個人それぞれ違いますから、まずはお互いに「約束をし、それを守りましょう」ということになります。それでも「解釈の違い」により約束違反等の紛争となるので、それを「裁判で解決するベース」というのが民法(大まかな解釈)ですね。だから、基本的に約束違反があっても、話し合いで双方がOKとなればそれは解決、そこに国家=警察が介入することは本来あってはいけないことですね。

しかし、「双方で合意すれば何をやってもいい」となると、社会の秩序が保てなくなります。例えば、旦那さんが他人に危害を加えられても、奥さんが「OK、問題なし」、ってことになったら、それこそ「この世は闇」。ですから、「悪いことをやってはいけませんよ、やったら国家が罰をあたえますよ」というのが刑法(これも大まかな解釈)。

この考え方は、原則明治の時代から変わりませんが、当然時代というのはどんどん変化しており、特に昨今の「モラルの欠如」という社会現象は、今までの法律だけで対処できるものではありません。

このコラムでは文字数が限られておりますので、一気に「快適且つ安心して住まう賃貸住宅を安定して供給・維持する法律」に飛びます。この仕組み(「法律」といいながら、実は「新しい仕組み」という考え方です)は、大家さんを守るとか入居者様を守るとかを目的としたものでは有りません。一言で言えば「快適な賃貸住宅環境を提供・維持していくために、大家さんも入居者さんも約束を守りましょう!約束を破ると、どちらにも罰則がありますよ!」という仕組みです。「罰則」というのがミソですね。

先ほど申しましたように、現在の賃貸借契約は「民法の守備範囲」ですから、約束違反があった場合には、「個別に裁判で判断」されます。裁判ですからやって見なければ、どちらが勝つか分かりません。また、国家による罰則もありません。つまり、家賃滞納でも「負けてもともと、損はない」ということです。ところが「刑法」の場合、(最終的には裁判による刑の確定となりますが、)「○○という悪行をしたら、△△の罪が与えられる可能性がある」と規定しています。つまり、「抑止力が働く」と言うことです。

本来、個々人の心の中には「モラルによる抑止力」が存在し、このような仕組みは不要な世の中がよいのですが、給食費の未納問題等、モラルの低下による社会問題は留まるところを知りません。

実際、この給食費未納問題でも、八潮市では3年前から「未納の親に対し簡易裁判所からの督促状」を送るようになってから、未納額が1/10に激減したそうです(TELでも直接確認しました)。
また最近、「自転車の危険走行の取締まりを強化する」というのも、「モラルに頼っていては、交通弱者を守れない」からです。正に「抑止力」ですね。

私が考えている「仕組み」は、刑法=罰金・懲罰刑のように厳しいものではありません。第一段階としては、交通違反の「点数制度」みたいなもの、更に「反則金制度」のような、緩いが効果のある「抑止力」を備えた仕組みを想定しています。

もちろん、これは「滞納に対する抑止力」だけではなく、例えば「経年償却を理不尽に入居者様に押し付ける大家」にも適用します。つまり、この仕組みは現在賃貸市場を縛っている新旧借地借家法、国交省ガイドライン、更には現在立法中の「賃借人安定法」をも網羅した仕組み(→こうなると「法律」)となります。逆にいうと、「賃借人安定法」のように、不良入居者を”も”守ることになりかねない一方通行の法律ではなく、もっと「賃貸市場全体の底上げ」を目指した法律ということになります。

全ての民民の契約に、このような刑法的な考え方が入ってくることは当然望みません。しかし、我々大家が提供している賃貸住宅とは、「居食住」の「住」という、生活の基盤に関わる非常に重要な部分です。「住」の安心・安定無くして国民の平穏な生活はありえません。昨今の「モラルの欠如」は、そのような法律(=仕組み)なくして、正常な賃貸住宅市場の維持すら困難な状況になりつつあります。

福島の原発事故以前に、原子力による発電コストを、施設の破棄コストまで参入すべきと主張していた方がいらっしゃったそうです。事故前は誰も見向きもしない考え方だったそうですが、今やそれが主流。賃貸住宅市場についても、上記のような「アイディア」を他の方がお持ちか分かりませんが、今のまま賃貸市場全体が「沈下」して、原発事故並みのダメージを受けた時、検討されるかもしれませんね。出来れば、そうなる前に「可能性としての検討」を市場全体が模索していただきたいものですが・・・・・

最後になってしまいましたが、私は一介の大家であって、法律家でも法律を正式に学んだこともない一般の国民の一人です。「そもそも法律とは」などと学者がいいそうなことは全部無視して申し上げておりますので、個別事情では矛盾も有ると思いますが、それも全部飲み込んで、このような「大きな考え方の変化も必要」ということを申し上げるべく、コラムにてお話しさせて頂きました。

で、どうでしょう、この仕組み???


<プロフィール>

落合 淑彦 (おちあい としひこ)
1959年東京生まれ。早稲田大学卒業後、(株)リコーに入社し、海外/国内マーケティングを担当。2006年相続により突然「素人大家」となる。サラリーマン感覚で大家業を展開し、5年間の成績(4棟50室)は空室率3.7%。
「消費税・非課税問題」には一家言を持つ。・


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